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琴平高 「MIDNIGHT RADIO 〜青春歌年鑑‘80〜」
1980年、ラジオがまだ絶大な力を持っていた頃、パーソナリティの翔太とリスナーの幸子が、ラジオを通して一人の人間として関わっていく様子を描いた心温まる作品。
まず注目したいのは、劇中に流れる音楽の多さである。1980年代の懐かしい音楽が、リスナーからのリクエストという形で流れ、温かい懐かしさに涙を流す観客も多かったに違いない。1980年代を知らない私たち学生にも、何か温かいものが伝わってきた。しかし、1980年代を表すために、音楽の力に頼りすぎている気もする。私は、目に見える演技スタイルや舞台セットと、耳に入ってくる音楽との間に違和感を覚えてしまった。
この作品では、私はもっと観客に考えさせた方がいいと思った。たとえば劇の途中で、役者が正面をむいて観客に語りかける箇所がいくつかあった。しかし、それをしてしまうと、観客の考える余地がなくなると思う。演技でも同じようなことが言える。この作品の演技は、とても素直でセリフや動きから、登場人物の考えていることがストレートに分かる。だが、それは、観客から「解釈する」ということを奪ってしまっていないか。
しかし、この作品の不思議なところは、私たちが忘れてしまったものを思い出させてくれる点にある。役者の素直な演技は、素直だった自分を思い出させ、素直になることが大切だと教えてくれる。伝わってくる一生懸命な気持ちは、温かく心に残って、今の自分や多くの人が失った温もりを思い出させてくれる。そして、それは、私にとっては、演劇を愛する熱い気持ちを思い出させてくれることにもつながった。
(12/23 高知県立美術館ホール) キョロ
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